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日本の研究でNMNがミトコンドリアのDNA基礎構成要素を増加させることが判明
NMNが、ヒト腎臓細胞のミトコンドリア内DNAのビルディングブロック(ヌクレオチド)を増加させることが、新しい研究で発表されました。
ハイライト
- ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、ユビキノン(コエンザイムQ10)という酵素の活性を高めることにより、ヒト細胞のミトコンドリア内のヌクレオチドの濃度を増加させます。
- NMNは、NMNをヌクレオチドの前駆体分子に分解する別の酵素を活性化させます。
- これらの発見は、NMNがミトコンドリアの健康を向上させる仕組みについての新たな説明となります。
NMNは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)という必須分子を増やすことにより、アンチエイジング効果をもたらします。NAD+は、エネルギーの生成、DNAの修復、活性酸素と呼ばれる有害な酸素含有分子の除去など、様々な反応において重要な役割を担っています。重要なことに、NAD+はミトコンドリアの健康を改善させることが知られています。しかし、NAD+がどのようにミトコンドリアの健康を改善するかは、現在のところ、完全には理解されておりません。
九州大学のカン教授らは、まだ仲間内でのレビューを経ていない論文でありますが、NMNが細胞の活力生成を担うミトコンドリアで、ヌクレオチドの生成を増加させると最近発表しました。ミトコンドリアは独自のDNAを持っているので、ヌクレオチドの利用可能性を高めることは、ミトコンドリアの健康にとって重要な、ミトコンドリアDNA合成および複製を強化する方法を提供する可能性があります。加齢に伴う心血管疾患や代謝性疾患の多くは、ミトコンドリア機能の低下と関連しているため、今回の発見は、NMNがどのようにその効果を発揮するのかについての理解を深めるものです。
NMNは、ミトコンドリア内のDNAの基礎構成要素を増加させる
NMNがミトコンドリアの健康を改善することでどのようにアンチエイジング効果を発揮するのかについての理解を増すため、日本の研究チームは、ヒト腎臓細胞のミトコンドリアから得られる代謝副産物(代謝物)を分析しました。その結果、NMNの投与によって、タンパク質の構成要素(アミノ酸)とNAD+代謝物のレベルが上昇し、さらにはミトコンドリア内のDNAとRNAの構成要素(ヌクレオチド)も増加したことが判明しました。また、カンらは、NMNがヌクレオチドの生成に伴って増加する代謝物であるオロチン酸を増加させることを見出し、NMNがミトコンドリアのヌクレオチドの合成を増加させることを示唆しました。
(Setoyama et al., 2022|Non peer reviewed article)NMNはミトコンドリアでのヌクレオチド産生を促進する。 ヒト腎臓細胞をNMNで処理すると(NMN_1mMおよびNMN1.5mM)、ヌクレオチド産生の増加を示すオロチン酸濃度が有意に上昇した。
ユビキノン(コエンザイムQ10)として知られる重要なミトコンドリアの酵素は、ヌクレオチド生産を増加させるのに不可欠な役割を果たしています。そこで、九州大学の研究者らは、NMNがその濃度にどのような影響を及ぼすかを調べました。その結果、NMNはミトコンドリア内のユビキノンレベルを大幅に増加させることがわかり、NMNがこの細胞の生成構造のためにヌクレオチド生産を増加させる仕組みがさらに明らかになりました。
(Setoyama et al., 2022 | Non peer reviewed article) NMNは、ミトコンドリアにおけるコエンザイムQ10レベルを上昇させます。 NMNは、電子を持つ形(Q10H2)と持たない形(Q10)の濃度によって示されるように、ヒト腎臓細胞ミトコンドリアのコエンザイムQ10(ユビキノン)レベルを有意に増加させることがわかりました。
カン教授と彼の仲間たちは、NMNによって増加したミトコンドリアの代謝物を分析することで、NMNがヌクレオチドの生成を促進するもうひとつの経路を発見しました。NMNは、NMNをリボース-5-リン酸という分子に分解する酵素(BST1)の活性化を促進し、これがヌクレオチドを合成するのに必要な基質となることが、解析から明らかになりました。このような発見が、NMNは新しいヌクレオチドを作るために必要な材料を提供し、それらがまたミトコンドリア内の新しいDNAを作るため使われているということを示しました。
NMNが細胞の健康に有益な効果をもたらすもう一つの方法
この研究は、NMNが細胞内でミトコンドリアDNAを豊富に増やすということを示しているわけではないのですが、短期的にNMNを補給するとミトコンドリア内のヌクレオチドを増加させるという証拠を提供しています。つまり、ミトコンドリアが損傷した場合など、より多くのミトコンドリアDNAが必要とされる状況で、細胞がNMN由来のヌクレオチドを使って、ミトコンドリアを補充できることを意味しています。さらに、NMNを長期間にわたって作用させると、ミトコンドリアの数が増え、ミトコンドリアDNAの複製数を増やす可能性もあるのです。いずれにせよ、この研究は、NMNがさらなる細胞の健康に有益な効果をもたらすことを証明するものです。
ソース
Setoyama, Daiki and Nomiyama, Tomoko and Yamamoto, Masamichi and Kang, Dongchon,
「 β-ニコチンアミドモノヌクレオチド投与がいくつかの方法でヌクレオチドを増加させ、ミトコンドリアDNAの代謝を増進する」下記URL参照SSRN: https://ssrn.com/abstract=4227260 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4227260