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老化を制御することがCOVID-19(新型コロナウイルス)感染症の治療にどう活用できるか
都市で山火事のように広がる新型コロナウイルス(COVID-19)は世界中に蔓延しています。 60歳以上のシニア、その中特に潜在的な健康問題を抱えている人は、他の年齢層よりも致命的な感染症にかかる可能性が高くなります。世界五大長寿研究の学術雑誌のひとつ『Aging』誌3月30日に発行された新評論は、老化関連の病理がパンデミックと戦うための新しい戦略になり得ると提案しました。
 
データによると、COVID-19に感染した人は主に高齢者でした。この論文にも報告されています。また、COVID-19によって好中球の能力低下で (gerolavic)、お年寄りに有害であることも提起されています。新型コロナで亡くなる感染者は80歳以上のシニアが13.4%、50代の患者が1.25%、20代の患者が0.06%を占めると推定されています。結果から見ると、加齢関連疾患と免疫機能障害に対する対策は新型コロナを治療する可能性が強く示唆されました。
 


図1:2019新型コロナウイルスの致死率の推定値―モデルに基づく分析(情報源: 『ランセット』)

 
「一方で、免疫反応が低下しているため、高齢者はより早く感染します。しかし、彼らを集中治療室(ICU)で彼らを苦しめた2つ目のことは、主に肺で発生する炎症です。」と、老化研究を専門にする米アルバート・アインシュタイン医科大学老化研究所のニール・バルジライ(Nir Barzilai)所長は言います。
 
ワクチンや従来の抗ウイルス療法の研究のほか、この論文では健康や長寿を促進する化合物である老化防止剤(geroprotector)の研究も呼びかけされています。免疫抑制薬、ラパマイシン、抗糖尿病薬、メトホルミンなどの市販薬が早期臨床試験において老化防止剤(geroprotector)としての可能性を示しています。他に提案された方法には、広く使用されているNAD促進剤と動物実験でアンチエイジング特性を示したカロリー制限があります。
 
ジェロントロジーを研究する老年医学の専門家は、免疫機能障害と炎症などの8つの老化特性がCOVID-19に関連することに一致しています。これらの特性は相互に関連しています。つまり、これらの特性のいずれかを治療すると、他の特性にも影響がを及ぼします。こバルジライ(Barzilai)氏は、「老化は病気の原因の1つです」と述べています。年齢が高くなるほど、心血管疾患、糖尿病、神経変性などの疾患を引き起こすリスクが高くなります。 「私たちはもはや病気だけを治療することはできません。私たちがすべきことはエイジング効果をターゲットにすることです。なぜなら、エイジング効果を狙ってこそすべてが影響を受けるからです。」
 
「COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスは、重症急性呼吸器症候群SARS及び中東呼吸器症候群MERSを引き起こしたコロナウイルスと遺伝的に類似しています。 理論的には、SARSとMERSに対して効果的な治療は、COVID-19に対する治療法を開発するための最も有望な出発点となります。しかし、これらの疫病は急速に鎮まったほか、爆発の規模が製薬会社に有効な薬物開発の商業的利益をもたらしませんでした。」
 
端的に言えば、研究活動への取り組みは止まってしまいました。


図2:透過型電子顕微鏡によるCOVID-19の可視化 (情報源:NEJM)

 
ジョンズ・ホプキンス大学のSean Leng氏は、COVID-19と高齢者への影響についてのウェビナーで「病原体は変化する可能性があります」と言います。「コロナウイルス科だけでも、SARS、MERS、そして今ではCOVID-19が見られました。 病原体だけを着目していたら、それほど遠くに行くことはできません。 だからこそ、私たちは“ジェロサイエンス”のアプローチについて検討する必要があります。」
 
最近、科学者らは、COVID-19に対して効果が有り得る69種類の薬物を特定しました。これにはラパマイシンやメトホルミンなどの老化防止剤が含まれます。しかし、バルジライ(Barzilai)氏はこれらの薬物がまだ新型コロナに対する臨床試験段階に入っていないことに不満を感じています。
 
科学者として、バルジライ氏は慎重で保守的です。 彼は薬が臨床試験を通過するべきであると信じています。しかし、彼の90歳の義父が彼に尋ねてきたとき、「私を守ることができますか?」彼は義父に抗糖尿病薬であるメトホルミン(metformin)を服用させました。メトホルミンは一種の抗糖尿病薬物であり、現在バルジライ指導者が臨床試験を行い、そのアンチエイジングの潜在力を研究しています。
 
「私は正しいことをしていますか?」 バルジライ氏は自問しました。「多くの科学と経験を持つことというのは非常に難しい倫理的ジレンマです。この良い薬は安全でも、病気が蔓延している高齢者の中で使えません。あまり不公平です。」"
最近のもう一つの研究では、新型コロナから高齢者を守るため、免疫抑制剤または老化防止剤のラパマイシンは低用量を用いた臨床試験の開始を提案しています。
 
新型コロナは高齢者に大きな影響を与えます。エイジングをターゲットにすると、体は感染症に対して回復力が高まり、病気の重症度と致死率が低下することができます。ジェロントロジー研究は、COVID-19の治療に役立つ洞知見を提供するだけでなく、加齢関連疾患の予防の予防や軽減にもつながることによってパンデミックの終了後も持続可能な解決策でもあります。 商業的利益は製薬会社を刺激させ、老化防止剤を開発させることにもつながります。
 
この絶望的な時期に、世界中の科学者がCOVID-19に対する安全で効果的な治療法を模索しています。老年医学の専門家は、彼らが感染症の根源——老化であるというの解決に役立つと信じています。バルジライ氏は「この科学は希望から約束へ、そして約束の実現へ」と語りました。今のところは慎重に臨床試験に入り、答えを見つける時です。