NMNは感染症を予防し、細菌の感染を防御する

中国の研究者は、NMNが睡眠不足のマウスを腸内感染から守り、抗菌性胆汁酸塩のレベルを上げ、感染した蛾の幼虫の生存率を高めることを発見しました。

 

ハイライト

• 睡眠不足（SD）マウスは細菌感染にかかりやすくなりますが、NMNの補給はそのような感染症を予防します。
• NMNは、SDマウスの腸内のデオキシコール酸（DCA）という抗菌性分子の濃度を増加させました。
• 抗生物質と併用すると、DCAは感染した蛾の幼虫の生存率を50％増加させました

 

睡眠不足（SD）は、心血管疾患、認知機能障害、腸内感染症につながる可能性があります。 したがって、睡眠不足の悪影響を軽減する方法を見つけることは、健康で長生きするために不可欠です。

世界保健機関（WHO）によると、世界中で毎年200万人以上が腸内感染症で死亡しており、その多くは子供であると中国の研究者らは述べています。

Advanced Scienceに発表された研究によれば、NMNが腸内感染症と対抗することを発見しました。 また、NMNは感染症を抑え、DCAと呼ばれる胆汁酸塩を増加させました。 さらに、DCAには抗菌作用があり、感染したマウスの生存率を向上させることも明らかにしました。

NMNが腸内感染から守る

SDマウスモデルを作成するために、Fang氏たちは連続回転する機械を使って、マウスを3日間眠れないように活動させました。 この3日間の間に、100mg/kgのNMNをマウスに食べさせました。腸内感染を誘発するため、マウスにMRSA T144という細菌を含む病原体を強制的に食べさせました。 その結果、SDマウスは糞便中の病原体の量が10倍から1000倍となり、NMNによって腸内感染を防ぐことができました。

(Fang et al., 2023 | Advanced Science)

 

NMNは睡眠不足（SD）によって引き起こされる感染症を防ぎます。 SDマウスは、正常マウス（CON）と比較してMRSA T144菌感染症（cfu/g faeces）が増加しました。 しかし、NMN（SD+NMN）により、この感染を防ぐことができます。

NMNがどのように腸内感染を抑えるのかを明らかにするため、FangたちはNMNを投与したSDマウスの腸内細菌の代謝物を調べました。 その結果、胆汁酸塩誘導体であるデオキシコール酸（DCA）の細菌産生がNMNによって増加することを発見しました。 さらに、実験に行ったところ、DCAには強力な抗菌作用があることがわかりました。 抗生物質であるシプロフロキサシン（CIP）と併用した場合、蛾の幼虫をDCAで3日間処理すると、生存率が50％増加したのです。

 

(Fang et al., 2023 | Advanced Science)

NMNはSDマウスの延命抗菌代謝物デオキシコール酸（DCA）を回復させます。 左：SDマウスでは正常マウス（CON）に比べてDCA（相対量）が低く、NMN（SD+NMN）により回復しています。 右：MRSA T144に感染した蛾の幼虫をDCAと抗生物質CIPで処理すると、生存率が50%増加します。

NMNは腸の健康を促進する

NMNはこれまで、高齢のマウスにおいて、抗酸化力を高め、炎症を抑えることで、腸の構造的完全性を回復することが示されています。 また、NMNによって上昇したNAD+は、睡眠不足のマウスの腸内で抗酸化物質として作用し、寿命を延ばすとされています。 さらに、NMNは、マウスの腸内細菌組成を改善することが示されている。 これらの研究は、今回、Fang氏らがNMNに抗菌作用があることを示したことで裏付けられました。ヒトでの研究はまだ必要ですが、NMNは腸と腸内細菌の健康を多角的に改善する可能性がありそうです。

ソース

Fang D, Xu T, Sun J, Shi J, Li F, Yin Y, Wang Z, Liu Y. Nicotinamide Mononucleotide Ameliorates Sleep Deprivation-Induced Gut Microbiota Dysbiosis and Restores Colonization Resistance against Intestinal Infections. Adv Sci (Weinh). 2023 Jan 25:e2207170. doi: 10.1002/advs.202207170. Epub ahead of print. PMID: 36698264.